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「コンスタンティン」
テンプレ変更記念(笑。たしか封切り直後の水曜日、下がり眉毛のニコラスよりはキアヌでしょう、ということで「コンスタンティン」に行ってましたので。

いやまあ、のっけから悪魔憑きで始まっちゃうし、気温下がったり重力無視したりで、ほぼエクソシストだしで。オカルト映画なんですがね。あ、虫とかいろいろ出てくるので、そういうの苦手な人はやめといたほうがいいです。
キアヌ・リーヴスは実にハマり役なんですけど、キアヌだけならDVDになってからでもヨシ。

強すぎる霊感ゆえに自殺の大罪を犯しながら死の淵からよみがえった主人公、コンスタンティンは、地獄送りのさだめを免れるために、現世で始末人として働いてるわけですが。どうも神父とかそっち系の修行をしたわけじゃなく、もともとの霊感強すぎなだけで、そういうことしちゃったり、できちゃったりするようで。
聖書のことばの霊的パワーを駆使したり、マジックアイテムが頼りなのね。「悪魔の住む家の虫」でアミティヴィルとか、「電気椅子」でシン・シンとか、固有名詞が聞こえてきて。まあ映画冒頭の鈎十字の旗に包まれた槍先も、雑誌「ムー」とか、そっち方面にちょっと首つっこんだことあれば、すぐ分かるし、なんともうさんくさいわけですが。
なんというか、このあたりを逆にリアルに感じました。
事件、事実、フィクションていうか思いこみも取り込む、信仰という大きな力というか。アメリカ人て、これまで思ってた以上に宗教的なのかもしれないなあ。

映画としては、あくまでもオカルトアクションなんですけどね。

いやもう、あるはずがないものを実在するかのように見せられるところまでCGが発達したからこそできる映画だと思いますが。
暖かそうな天使の羽を備えたガブリエルの美しいこと。昔々ヴァージニア・ウルフの『オーランドー』映画化されたとき、年をとらない青年オルランドを演じたティルダ・スウィントンと聞いて納得。
最後の笑顔を導きだすシークウェンスが本能的と見えるだけに、なぜとはなく「ハーフブリードってけっこうかわいそうな生き物なんだなあ」と思ったのはひみつです(汗。

原作はアメリカンコミックスだってんで気構えはできたんですが。ストーリー展開がね。いまいち、こう、できごとを淡々と追いかけていくというか、なんかなあ、オカルトなんでもありな世界に対して、推進力が乏しい感じ。ワタシ的には映画館だから追いかけられる話かもしんない。ウチでDVDじゃ気が散ったら途端に話分からなくなる可能性大です。

いやまあお金かかってるし、役者と、そのほか映像に出てくるものを追いかけきれれば、それだけで結構楽しいかな。本気のバカ映画じゃないし、ネタ物的な悪ふざけ感覚はありますが、ただのCGサーカスと切り捨てられない後味もありで。1800円は出さない前提で、フルマーク五つ星なら、三つ半てとこですかね。



書影
「コンスタンティン」 日本語公式サイト
2004年アメリカ フランシス・ローレンス監督
出演:キアヌ・リーブス、レイチェル・ワイズ、ティルダ・スウィントン

『コンスタンティン』(ノヴェライズ) 竹書房文庫/竹書房
ジョン・シャーリー/ケビン・ブロドビン;フランク・カペロ脚本/石田 享 訳
| 折原偲 | 映画・テレビ | comments(0) | trackbacks(1) |
映画「ローレライ」という神話。
いやまあ、この映画は一言で言うなら「それ、無理だから。」なんだけど。
だってのっけから潜水艦が艦砲射撃するわけで。戦記物読んでも戦闘シーンの細部は頭に入らないワタクシだとて「え?」と思うわけで。ヘンですよ、絵的にも。
しかし頭のなか「?」だったのは序盤だけで、浅倉大佐が出てきて舞台が潜水艦に移るだに、ハナシにぐいっとひきこまれます。強力な艦砲を搭載したドイツ製の潜水艦伊507、そして探知能力で魔女とまで呼ばれたローレライシステムだって一言で言えば「それ、無理だから。」なんだけど。けして無敵でなく、また攻撃兵器ではないあたり、よく作られていて。
いやはや、日本映画伝統の戦争物の器にガンダムのハナシを盛りつけました、という制作側の談話?を後で友人から聞いて、なるほどなと思いました。
見てる間は「これ『青6』の新エピソードって言われたら信じちゃうね」とか考えてましたが。
たしかにアニメのネタと見るならば、無理は無理でも通らない無理じゃない。
ストーリー展開も危うさを孕んだ無理な感じがアニメっぽいんだが、いやこれ誉めてるつもりなんですよ。アニメ育ちの世代としては、昔の戦争映画はとても遠いものに感じられるわけで。ワタクシが見て育ったアニメ作ってる世代の人たちには、そうではなかっただろうと思うんだけど。
私たちの世代には、時代としても、体験としても、とても遠いものなんだな。それでも歴史を勉強したり、手記を読んだりで、何があったのかはだんだんわかってくるのだな。
それを見てもなお、あの時代のひとたちが、私たちに何かを残してくれたのだと。いや、あの時代のひとたちも、共有できる何かを信じようとしていたのだと思いたいのだ。こうして、ここに生きているからには。
アニメ世代に分かる展開と、圧倒的な潜水艦戦闘の映像、そして役者の演技で、目に見えるように見せてもらった気がする。いや、泣きはしなかったのだけれどね。
虚構の物語が結末に至れば、なにもなしでは容易に信じがたい嘘に、読み手は共感できるようになる、これをワタクシはファンタジーのチカラと呼んでおるわけですが。いや、物語のチカラというか、神話というか。
映画「ローレライ」もまた、一幅の神話として、残る作品であると思う。
いや戦闘シーンはずぇったいダメ、というんでなければ、役者の芝居だけでも、レイトショーならお釣りが来ると思う。大スクリーンで見ておくべし。

ローレライ  2005年 日本 東宝邦画系で公開中。
公式サイト
監督:樋口真嗣
原作:福井晴敏「終戦のローレライ」
出演:役所広司 妻夫木聡 柳葉敏郎 香椎由宇 石黒賢
| 折原偲 | 映画・テレビ | comments(0) | trackbacks(0) |
『封印作品の謎』
封印作品の謎安藤健二
(B6判)/太田出版 2004年10月
1554円 ISBN:4872338871
bk1 Amazon 楽天ブックス

ある作品が受け手の誰かの心の中に忘れがたく残っているとする。見た当時の思い出も含めて、受け手にとっては、とても大切に思えるものだが。
その価値は誰かが見て記憶して、はじめて生まれるものなのだ。
作る側にとっては、忘れがたい作品もあるだろうが、仕事として作ったもののひとつなわけで。唯一無二と抱えていては次は作れないのだ。

いや、まあ、ぼんやりと『封印作品の謎』を手にとってしまったわけで。
見る側の思い入れは作り手の現実の前に少なからず空回りするものだ。
この本も例外ではなかった。
そして封印の謎は謎のまま終わっている。そういう印象をうけた。

著者は1976年生まれで、怪奇大作戦やウルトラセブンの本放送を知る由もない。長じてから封印作品の存在を知った世代のひとだ。
なぜ、そうなったのか、どこが問題だったのか、封印された中味と、その発端となった事態について、ある程度は解明されている。が、取材を続けるうち、封印にぶつかってどうしようもなくなるところを、著者は省略せずに書いている。残念ながら、ないないづくしの印象が強い。

ただまあ、知らずに騒ぎ、オークションで高値を付けてしまうような愚を避けるに、取材の経過記録も含むドキュメントとしては貴重な記録ではあろう。
| 折原偲 | 映画・テレビ | comments(0) | trackbacks(0) |
「スカイ・キャプテン」を見た。最後の朝イチ割引で。
いや噂にたがわぬ、なんというか市街シーンの感じはなんか「メトロポリス」だし、ロボットはどっちかっていうと横山メカだし、無線で Calling Sky Captain ! とかやってるところはキャプテン・フューチャーだよと楽しみつつツッコミつつ見ていていいのかホントに、と思うのは。地球の危機とかに眦(まなじり)を決さんばかりのコドモばっか出てくる日本のアニメに馴れちゃってるからかもしれぬ。
だって主演ふたりのやりとりは最後まで痴話喧嘩だし(笑。かるい。しかも、ぬるい。
しかしその、ジュード・ロウ、グウィネス・バルトロウ、アンジェリーナ・ジョリーと俳優陣がまたいいのだ。ストーリーの要求する古典的なタイプのキャラに、みごとにハマッてる。
ポリー・パーキンスはヒーローを厄介ごとに巻き込むヒロインの典型なわけですが。事件記者なのにハイヒールにロングタイト、金髪巻き毛は乱れもしない固めっぷり。
失敗する自分が許せないんじゃないかと何となく思ったフランキーの唇が赤くないのもまたよし。で、まあ、なんといってもジュード・ロウなんですな。いやもう、キメ笑顔が出るたび、キャーとかイヤーとか言いたくなって困りました(汗。すばらしい。
ぜひ、レンタルDVDがリリースされた暁には、女友達と転げながら見る会をやりたいです(笑。

たぶんおおかたのところでは17日までだと思います。すべてわかってて、なおかつ面白がれる大人のお楽しみって感じなので、ムリくり見に行けと言うほどじゃないけど。まあ、噂のゴジラほど無駄遣い感はないんじゃないかな。
(20041210)

スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー
 公式サイト

監督・脚本 ケリー・コンラン 
製作総指揮 オーレリオ・デ・ラウレンティス 
製作・出演 ジュード・ロウ 
出演    グウィネス・パルトロウ  アンジェリーナ・ジョリー 

2004アメリカ/ギャガ=ヒューマックス配給
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| 折原偲 | 映画・テレビ | comments(0) | trackbacks(0) |
『スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』(20041204)
スカイキャプテンK.J.アンダーソン
竹書房文庫/竹書房 2004年12月
620円 ISBN:4812419166
bk1 Amazon 楽天ブックス
公開中同タイトル映画のノヴェライズ。→公式サイト
なんか、ひらがな多いんですが(笑。これは観てから読むことにしよう。
| 折原偲 | 映画・テレビ | comments(2) | trackbacks(0) |
「アンダーワールド」
underworld2003年アメリカ
公式サイト
監督:レン・ワイズマン
主演:ケイト・ベッキンセール

はっと気が付いたら終わってたので、DVDで鑑賞。発売元はハピネット・ピクチャーズ。
サービスデーのレンタル半額だったので、基準は大甘です念のため。
ちなみに来年1月末には「アンダーワールド DTSエクステンデッド・エディション」が出るそうですヨ。

いやお話は吸血鬼とライカンスロープつまり獣人族、不死の種族が数百年にわたり闘争を続けてるんだけど。場所はどこなのかよくわかりませんが、地下鉄あるのに蒸気機関車もやってくる、この世界ではないどこか、かな。

いや主役のケイト・ベッキンセールはいいね。タイトだけどストイックなコスチュームを身に纏い、アクションシーンをこなしつつ、クールだけど脆そうで、かたくなで。ヒロインとしてポイント高し。
狼男のボスがルシアンと呼ばれるたびにティヌヴィエルを思い出すのはまあそういうヤマイなので違和感はしかたないとして(笑、むしろ貧相な小男なのは、ムキムキマッチョな狼男連中を従える視覚効果とは別に、ストーリーの上で納得できるものでした。
いやこの対立する種族なのに恋に墜ちる二組が、別に吸血鬼や獣人じゃなくてもいいじゃん的抗争話を盛り上げてあまりある感じで、まあまあでした。
特殊メイクのスーツ着用のアクションシーン(つまり指輪映画のウルク・ハイみたいな)はなかなか迫力あり。変身シーンはしかたなくCGだけど、アップの表情なんかはアニマトロニクスだそうで<機械式で表情筋と同じ動きを出すようリモコン操作するやつ。

ただまあ、アクションシーンの配分はいまひとつだったかな。DVDなのでサクッと駒落とし早送りしてしまいました(汗。

ちなみに造形的にもいいなあと思ったのはミイラから徐々に蘇る吸血鬼の大長老。いにしえの暴君て感じで、みんな銃撃ちまくってるのに剣だもんなあ。イカす。
ヒロインの相手役は……まあ普通の人ってことだし、あんなもんでしょう。一目惚れの冒頭のシーンはなんというか、あんな美女に見つめられたら迷っちゃうキモチは分かる的な(笑。
いや吸血鬼とかライカンスロープに関する自分の認識棚上げしないと見れない映画でしたが。拳銃の形態で機関銃ばりに連射して、はたして当たるのかよとか思ってしまいますが、撃ってるの吸血鬼だしな(汗。
出だしの飛び降りとか、世界のあの雰囲気はいいなあ。割と好きです。
いやラストが続編……というか、むしろテレビシリーズ作る気ありありで笑ってしまいましたが。
これこそ映画館で1000円で見とくべきだったかも(笑。
| 折原偲 | 映画・テレビ | comments(0) | trackbacks(1) |
「ハウルの動く城」
朝日新聞の映画評はマイナス評が多い気がする。いやワタクシの見ようとする映画は評価されないってだけの話かもしれないけど。マトレボは実際……って、そういう話じゃなくて。
水曜の朝刊で評を見たので早々に『ハウルの動く城』を見に行ってみたわけだ。評者は嶽本野ばら氏。ラブストーリーとしてすばらしく、ハウルは少女の理想の男性像で(笑。いやこれは人それぞれだよね)、制作者は象徴を廃した、そして、泣ける、と書かれていた。宣伝方針として、詳しい情報を出していないこの映画が、そんな作品になっているのかと興味を持ったのだ。
なんていうのか、微妙な話だった。
映画が終わり、劇場内が明るくなって、客は通路を歩きながら、ぽつりぽつりと喋りだす。その喋りだし加減が、なんとも微妙だったのだ。『もののけ姫』みたいに。
いやいつもの少女が救っちゃう話で、ヒロインと魔法使いはめでたしめでたしな感じで終わるんだけど、そのほかについては、はっきりした結論は出ないままなのだ。帰り道、いろいろと考えたり、話しあったりしている時点で、宮崎駿氏の術中にはまっているのかな、という気はする。
嶽本氏の書くとおり、ラブストーリーとして見るなら、ふたりはできあがり完結していて、微妙のなんのと疑いをはさむべくもないのだ。世界を描く技量は実に安定していて(なにしろジブリですから)、ほかのなにもかもを忘れてしまうというソフィーの台詞が素直に納得できるほどに美しい。そのひたむきさが報われるカタルシスもある。
ただ、この映画のどこで泣けるのかは、とうとう謎のまま終わってしまった。
劇場でも泣いてる人いなかったし。
客寄せのコピーとして「泣ける」は今や強力だから、感動する、心を動かされる話だ、という表現として使うのは有りかなあ。ひどく心を動かされるからこそ、その理由を知りたいとも思うのだし。
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| 折原偲 | 映画・テレビ | comments(0) | trackbacks(0) |
本屋放浪。『トゥー・ブラザーズ ヴィジュアル・ブック』
不意に読み始めた『ダブルブリッド』の3以降を探そうと、本屋をウロウロ。本屋→古本屋(っていうかリサイクル書店)→本屋と梯子する。
最後の紀伊國屋でチラリと見た新刊平台につい手が伸びたのは『トゥー・ブラザーズ ヴィジュアル・ブック』でした。
虎の子というだけあって(意味不明)、かわいい。写真満載で、思わず見ほれました。とりあえず映画は行きたいかも。
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『トゥー・ブラザーズ ヴィジュアル・ブック』

ジャン=ジャック・アノー原作/ベルトラン・フェリエ/岡田 好惠訳
(A4変形)/評論社
1260円 ISBN:456601360X
bk1 Amazon 楽天ブックス
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キング・アーサーやっと観た。
水曜日、気になっていた「キング・アーサー」を観てきた。
ローマ軍のブリテン島からの撤退、それに伴う要人家族の救出、兵役義務からの解放と命を賭けなくてはならなくなった辣腕の外国人騎兵隊、と、起こる事件を追い掛ければ、展開はまるで「スパイ大作戦」(ミッション・インポッシブルの古いヤツ)である。
ローマの撤退にサクソン人はもちろんつけこんでくるし、「壁」の北側の荘園から戻ってきてもピンチは続く。めいっぱい引っ張ったところでドンデンとひっくり返しがあり、戦友の情にほろりと来る盛り上がりもありで、「グラディエイター」ばりの古代肉弾戦戦争アクション映画としてなかなか楽しめる。脚本は同じ人ですね。
しかしいわゆるアーサー王伝説は中世騎士物語であるからして、こんなのは違うと思い続けたままエンドロールを迎えた人も多いだろう。
伝説の源流をさかのぼれるだけ遡った時点の、起こったかもしれない事件。それを理想化抜きで描き出すのがこの映画のコンセプトである。いやまあ、ローズマリ・サトクリフ『ともしびをかかげて』を読んでたりすれば、甲冑のローマ風なのと、現地の人がピクト族なあたりで、ああこれかと思えるわけで。
ただまあ、騎士物語と全然違うというものでもないなあ、とワタクシは思うのである。
この映画の主人公、アルトゥリウスはとにかくよく喋る。ありうべきローマ、ありうべきキリスト教、戦友をかけがえなく思うがゆえの祈りまで言葉に出してしまう。祈りを当の戦友に聞かれちゃうのだ。ああ恥ずかしい。
いやアメリカ映画にはありがちだし、この説明のおかげでストーリーのもうひとつの柱であるところの、主人公の苦悩と、ふっきれるまでの経過が観念的にしろよくわかるのだ。

キリスト教徒としての自分の理想をも、主人公はことあるごとに口にする。
自由と、平等だ。
聖職者の手紙からブリテン列王史、12世紀南フランスのトルバドゥールが唄った騎士の物語、体系化と「騎士道」的理想化の果ての「アーサー王の死」と、思えば人々はアーサー王の戦いに自分の時代の理想を反映させてきたのだ。
理不尽な支配からの騎兵たちの自由、ペラギウス異端の内的な倫理にもとづく自由と平等の形を借りて、現代の理想が、この映画にも託されているように思われる。
もちろん主人公の考える理想は彼のどたまの中にしかない。かれがもはやローマにもありえないと分かって追いつめられ、自分は死んでも理想を実現したいと自棄っぱちで戦いに立ったことが、現地の人々の利害と一致したのは全くの偶然のはずである(笑)。マーリンの予言やら伏線はあるのだが、この希有な偶然を感動できるストーリーに仕立て上げたのは天晴れな力業というべきか。さすがである。
紀元3世紀から7世紀はブリテン島に関する文字史料のない時代で、いつ誰がどこで何をやっていたのか、具体的なことはさっぱりわからないのだという。遺跡や遺物のような文字でない資料から当時の人たちの暮らしぶりなんかは再現できるはずなので。そのへんの考証がこの映画のリアル感を支えているのでしょう。サルマート人説の支えなのか、騎兵隊の戦装束が大陸風にかっこよくしてあるのもまたよきかな。

ちなみにファンタジー読み神話伝説スキーのワタクシがグッときたのは。
戦で死んだ英雄たちの魂は、名馬になって戻ってくる。という台詞が導入部にあったのだ。
最後の最後、馬たちが走っていくラストシーンにつながっているのだが、その前にも、引き上げの長い列にもサクソンの進軍の太鼓が聞こえてくるシーンがあるのである。
騎手たちにとっては、予期していたものがとうとうやってきたか、という兆なのだが。
馬たちは戦の予感に騒ぎ、落ち着かなくなる。
いにしえの英雄たちが、騎手たちに、真に戦うべき時を教えているようにも見えるのだ。
いや、深読みのしすぎとは分かっちゃいるんだけどね。
| 折原偲 | 映画・テレビ | comments(2) | trackbacks(1) |