2010.09.07 Tuesday
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2004.12.05 Sunday
杉浦日向子
(四六判)/新潮社 2004年11月 1365円 ISBN:4104259039 bk1 Amazon 楽天ブックス 「ごくらくちんみ」甘味編。ひたすら食い物しかも甘いモノネタな短編がぎっしりと。 珍味編との違いが顕著なのはひたすら会話だということだ。酒とサカナには独酌という言葉もあるごとくひとりも似合うものだが甘味は違うのか。いやひとり喰いのむなしさは、ひとり酒にもいや増して……てな話はおいといて。 地の文はなくても、たとえばカステラに餡をはさんだシベリアをともにするごとく、なじんだどうしのやりとりからいつしか、昭和の東京が情景としてうかぶという具合。いや、なかなか。 甘いもの系は覚えある品も多く、巻末のリストで昔よく行った店の閉店を知って驚いたり。エスワイルのサバランをもう一度食べておくんだったな、とか、本とはあんまし関係ない懐旧の念をそそられるのは、まあ東京歩きの雑誌「東京人」連載ならではだろうか。そこに「ソフィア」への連載を足した一冊。 昭和の東京を覚えている人、また縁もゆかりもないけど知りたい人なら、まったりと過ごしたい午後におすすめ。
2004.12.05 Sunday
杉浦日向子
(B5変形)/新潮社 2004年9月 1260円 ISBN:4104259020 bk1 Amazon 楽天ブックス 新しい『百物語』と惹句にあったのだが漫画じゃなく小説。しかも江戸ものでなく、現代の、物喰う短い話をたくさん集めてある。小説新潮の連載が本になるのに六年掛かったんだそうな。 モノは、そう、からすみとかキャビアとか豆腐よう、珍味つまりは酒のサカナだ。酒好きサカナ好きの人は読みながら、つい、手が杯を探してしまうのではあるまいか。 誰かと語らい、稀にはひとりで酒を酌む時間が、心を潤し、内なる何かを涵養する。そのひとときが、短い話につなぎとめられているから。 じつは亡くなった父は下戸で、珍味系の味に親しまず味覚ができあがったせいか、自分ではあまりうまいと思ったことはないのだが。 ひとつだけ、この本の金鍔の味は知っている。今年の夏、友人に連れていってもらったのだ。店の場所は覚えきれなかったが、餡子の味は忘れるものでもない。たしかにあれなら酒も飲めそうだ。 (20041006)
2004.11.09 Tuesday
ウィリアム・ブレイズ/高宮利行監修/高橋勇訳
(A5判)/八坂書房 2004年10月 2400円 ISBN:4-89694-849-1 bk1 Amazon 楽天ブックス 書物の最大の敵は火、そして水、さらに人間である……(汗。 愛書家にして印刷人の著者が自らの好むところと、やるかたない憤懣を語った本がなぜベストセラーか不思議ではあったのだが。 つまりまあ、ヴィクトリア朝英国では識字率は上がり貸本屋もチャッププックもあったけど、ひとかどの蔵書を持つほどの愛書家は中流以上の知識人男性に限られていた時代であり、そういう人たちには共通する悩みであったから、ということだろう。自然科学系の観察や分類方法が徹底していない時代でもあるのは言うまでもない。 そして、本がまだ修理されては使われる耐久消費財だった時代の話ではあり、消耗品になりつつある時代の人間としては羨望と安堵を半ばとする複雑な心境にとらわれるのであった。
2004.10.22 Friday
鎌田東二ほか
(A5判)/ポーラ文化研究所 1998年10月 1575円 ISBN:4938547392 bk1 Amazon 楽天ブックス カバーの大船大仏に記憶を刺激される人もいるでしょう(汗。ひとの住む町にスケール感の異なるサイズでそびえ立つ高い建造物を扱った本。大仏や回転展望台(レストラン含む)、太陽の塔とか東京タワーにゴジラまで。 写真たくさんで、どことなく可笑しみのあるところは『新 正体不明』を思わせるんだけど。ついてるのが路上観察学会的な、思わずクスっと来てしまうひねったキャプションじゃないんですな。 それぞれに美術史的、あるいは建築史的、はたまた民俗学的にアプローチする専門家の解説なので、ちょっと手こずりました。調査はさすがに行き届いて、それぞれの来歴には読みふけってしまうのですが。 トマソン的興味しか感じないのはやはり実物ほとんど見たことないせいもあるだろうが。ゴジラも埋没するビル街に馴れちゃってると、むしろスケール感のほうが変化していると言えるのかも。 ええとポーラ研究所が出していた「is」(〜2002年9月刊第88号)の別冊と聞けば、なるほどと思う内容なのかも。ちなみに図書館の本でした。 |
テルーの唄 (ゲド戦記 劇中挿入歌) (JUGEMレビュー »)
手嶌葵, 宮崎吾朗, 寺嶋民哉 すぐれた楽曲に、出てきたままの素直な声が活かされた佳品。歌詞はまあちょっとアレだ、「こころ」って言い過ぎ。 これに合った作品になっているのか、とりあえず、映画を見定めようと思った。
金春屋ゴメス (JUGEMレビュー »)
西條 奈加 人が月に住むような未来なんだが、ここの日本には「江戸」がある。あるったらある(笑。文章もこなれた時代物で謎解きったら捕物帖、っていうより昔のテレビの「大都会」な感じで、面白いっす。 いやファンタジーノベル大賞ものなんで、「……それムリだから!」ってツッコミ入れたくなるような突拍子も無さがあるんだけど。そこがまたいいんだね。 |
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