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『赤死病』The Scarlet Plague
 感染し発病すれば必ず死に至る伝染病の最初の兆候は、顔一面の紅潮である。
 赤とはいいがたいその色から、病は The Scarlet Plague と呼ばれた。
 物語はその後の世界で語られる。
 流行が始まり全世界に広まって、世界が崩壊したのは2013年、そこからすでに六十年がすぎている。当時大人だった最後 のひとり――カリフォルニア大学の英文学の教授だった老人が語る死病の伝播のさまは古くて新しく、1910年代初頭の作品とは思えないほどだ。
 そう、スペ インかぜの世界的流行ですら1918年〜1919年なのだ。
 運にも恵まれたとはいえ、想像力と判断力を働かせて生き延びてきた老人も、年若い孫に面倒を見てもらわなくては、その日を生き延びることもおぼつかないほど老いて、弱っている。
 弱った老人をからかっては笑い、病原菌を説明しても理解しようとせず、部族の呪術師のおどしに怯える若者を見て、文明の喪失をかれは嘆くのである。
 いやはや。現代日本でも、その喪失は日々迫っていることのように思えるのであった(汗。 科学文明の破滅がなくても。

 著者は『野性の呼び声』のジャック・ロンドンその人で、ジャック・ロンドン選集5巻にも収録されている。
 そして、世界SF全集31にも収録された、ディストピアSFなのであった。
 野性の世界と、野性に帰した人間の真に迫る描写が、文明の喪失と荒廃に迫力を与えている。
 書かれたのはおそらく1910年代前後であり、時代的な制約はあるが。さすが、と思える一編でした。

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評価:
ジャック ロンドン
新樹社
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(1995-09)
| 折原偲 | SF | comments(0) | trackbacks(0) |
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