なんでも本棚。

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ロスロリアン

Lorien

「ロスロリアンだ!」と、レゴラスが叫びました。「ロスロリアン! とうとう黄金の森の軒先にまで来た。今が冬とは残念至極!」(4-46)



いや、この台詞だけは映画でも聞きたかったですね(笑。



大河の西側、ケレブラントの流れと出会うところに、ケレボルンとガラドリエルのおさめるロリアンがあります。大海の東で唯一、マルローン樹の生い育って森となるところ、サウロンの影いや増す時代にもエルフの不変の美があると言われる森です。ロスロリアンとはシルヴァン・エルフの言いようで、そもそもはラウレリンドリナン、西方語では黄金の森、あるいは隠された地と呼ばれました。ロヒアリムはかれらの言葉で、まぼろしの谷、ドウィモルディネと呼びました。



ガラドリエルが森に至ったのは第2紀と言われています。
その民のほとんどはシルヴァン・エルフで、シルヴァン流のシンダリンを話しています。
1981年、ドゥリン六世の代に目覚めさせられた山の下の悪、モルゴスのバルログはロリアンをも襲い、多くのエルフたちは南に逃げて西へと旅立ちました。それ以来、ギムリがやってくるまで、ドワーフが森にたちいることはありませんでした。



使命の旅の途次、指輪の仲間はロリアンで一ヶ月ほども心身を休めたといいます。そのとき、ガラドリエルは指輪所持者に水鏡の試練を与え、ガンダルフなき旅立ちに向けて決意を新たにさせました。同時に、彼女じしんもひとつの指輪の試練に勝ったのです。



映画のここはたいへん不満なんですが、まあ、あのガラドリエルの美しさ超絶さで、十分おつりは来る……かな(笑。



このとき、彼女の手元にネンヤが星のように輝くのを、フロドだけは見ています。ロスロリアンが中つ国にも色あせず保たれていること、そして、指輪戦争においては、ロリアンはずっとドル=グルドゥアからの攻撃をうけていましたが、それを悉く退けたのも、ガラドリエルじしんの、そして真白の光を放つ水の指輪のちからゆえだとあかされます。



指輪の時代に終わりが来て、ガラドリエルは西へと海をわたり、ケレボルンもロリアンを去りました。森は見る影もなく衰えましたが、それでもなお、去りかねたガラズリムのいくたりかがロリアンに残っていました。
しかしガラス=カラゾンにもはや明かりはともらず、歌声の聞かれることもなかったといいます。


| 折原偲 | 指輪物語 | comments(0) | trackbacks(0) |
「モリクウェンディ」

Moriquendi
〈暗闇のエルフ〉の意。日月以前に存在した光をついに見ることがなかったエルフたちをいう。
ヴァラアルの召し出しに応じて旅立ち西方に渡り二つの木の輝きを目にしたものたちがつけた呼称である。自分たちのことはカラクウェンディ、〈光のエルフ〉と称した。
三家に属しながら旅の途中で脱落し西の地に至らなかったウーマンヤアル(「アマンに属さぬ者たち」の意。アマンヤール「アマンの者たち」の対応語)、そもそも召し出しに応じなかったアヴァリ(「応ぜざる者」の意)も、等しくモリクウェンディと呼ばれた。
エルウェ、のちのシンゴルは、ので、モリクウェンディではないとされる。
異なる分け方で言えばエルウェを除く(使節としてヴァリノオルに招請されたさい、二つの木の光を目にしている)シンダアル全員、ライクウェンディやシルヴァン・エルフとなったナンドオルはモリクウェンディである。
のちに召し出しに応じた三家の成員のみをエルダアルと呼ぶようになった時(渡海したか否かは問わない)、それ以外のエルフの呼称として使われるようにもなった。しぱしぱ軽蔑の意味合いで用いられたのである。



後年の異世界ファンタジーに見られるダーク・エルフのなかには暗黒の配下とされ、暗黒の支配からは自由な種族と敵対する例も多く見られる。
しかしトールキン世界では、モリクウェンディもヴァラアルに敵対するものではない。アヴァリにしても、オロメを除けば、ヴァラアルといえば出陣の非常な怒りの様相しか知らなかったため、恐れる気持ちが強かった。噂にしか知らない二つの木の光よりは、慣れ親しんだ星明かりをよしとして、中つ国にとどまったのである。


| 折原偲 | 指輪物語 | comments(0) | trackbacks(0) |
「オーク語」

Orkish
追補編の241ページからの「オークと黒のことば」を参照のこと。
モルゴスにつくりだされた最初から、オークどもは独自の言葉は持っていなかった。ほかの種族のことばを行き当たりばったりに借用し、たいていは意味をねじまげて用いていた。その結果できあがった、粗暴で表現力にとぼしい貧弱な混合語を喋っていたのである。部族によって方言が存在し、部族が異なればほとんど話も通じないありさまであった。
そのため第3紀になるとオークどもは西方語(共通語)を用いるようになった。語彙には西方語にあったクウェンヤ語の名残りもあるが(タルク tark 「ゴンドールの人」← tarkil ヌメノールの末裔)、発音は崩れ、人が聞くことがあれば、オーク語とほとんど変わらないように聞こえたという。いっぽうで、ガーシュ ghash 「火」のような、黒の言葉由来の単語も多くある。
ぜんたいに罵倒語は豊富、しかし、文法的には全くなっちゃいなかったとされています。



教授の微妙な悪意だな(笑。


| 折原偲 | 指輪物語 | comments(0) | trackbacks(0) |
「黄昏の人間たち」

Men of the Twilight
ゴンドールの伝承における、人間の類別のひとつ。
黄昏の人間たちとは、ロヒアリムや北方人たちを差す。中の人 the Middle Peoples ともいう。
ヴァラアルのお召しを受けてヌメノールに行った人間たちを上(かみ)の人あるいは西方の人というのに対応する表現で、さらに蛮族、すなわち暗黒の人間たちがいます。
ヴァラアルに従う者、モルゴスそしてサウロンの支配下にあるもの、そのどちらでもないから Middle、というところでしょうか。



唯一言及するのはファラミアです。



「エルフの友の金髪のハドオルから直接出たものではおそらくなかろうが、ハドオルの息子たちと、お召しを拒んで西の方へ海を渡っていかなかった者たちから出ているのであろう」(7-190)



この説明だと、ビヨルン一統、谷間の国、また湖の国、ほかのアンドゥイン流域に棲む人間たちも該当すると思われます。


| 折原偲 | 指輪物語 | comments(0) | trackbacks(0) |
「黒の息」

Black Breath

実際に息ではないように思われるが(だいたい指輪の幽鬼が呼吸してるもんか、という基本的な疑問はおいといて(汗)、命あるものに及んだナズグルの力をいいます。本文初出はブリー郷、ひっくりかえったのはピピンでした(2-165)。

黒の息に襲われると、人もホビットも、五体の力が萎えて意識を失い、悪夢を見つづけ、長時間経過すれば死に至ります。

治療にはアセラスが効果的ですが、まことに効力を持つにはエレンディルの末裔である真の王の手によって用いられなければなりません(8-296)。

「(略)『王の手は癒しの手』と申しますもの。そして正当な王はこうして知られるそうな。」(8-286)

誰あろう、ゴンドールの物知りヨーレスの台詞です。



黒の息とはアラゴルンの台詞に登場する名前ですが、都の本草家がそらんじていた古詩でも黒の息となっています(原書もおなじ)。
ただ、療病院で治療に力を尽くしたアラゴルンのことが人々にすみやかに知れ渡り、助けを求めて多くの者が訪れるときは「黒い影(the Black Sadow)に襲われて横たわる者を癒してほしいと懇願」されるのです。(8-312)
もっともこれが黒の息の別名なのか、またはナズグルそのものを指すのかは不明です。


| 折原偲 | 指輪物語 | comments(0) | trackbacks(0) |
「バラド=ドゥア」

Barad-Dur
サウロンの砦である暗黒の塔。この名はシリンダリンである。黒の言葉ではルグブルズ、意味はおなじ。

モルドール北縁を形作るエレド・リスイの支脈の南端に位置し、第2紀と第3紀においては中つ国最大の要塞であった。

建設は第2紀1000年から1600年のあいだとされる。ひとつの指輪の力が用いられており、第2紀の終わり、最後の同盟戦争の折に、3434年から3441年にかけて包囲され攻め落とされたが、ひとつの指輪が破壊されなかったため、その土台は破壊されず残ってしまった(3-70)。

第3紀、サウロンがバラド=ドゥアを再建したのは2951年とされる。ビルボが旅立ち、フロドが「持ちのよいひと」の兆候を示しながら50歳を向かえようとする頃には、その噂がホビット庄までも流れてきて(1-96。本文初出)、ガンダルフによって裏付けされる(1-113)。

指輪戦争のおわりの3019年、指輪があとかたなく破壊されたときに崩壊した。

間近な滅びの山から(9-128)、また、コルマレンの野から(9-132)も、二度にわたって描写されている。

しかし登場人物が直接、たとえばフロドやサム、また黒門前のアラゴルンが直接、暗黒の塔を目にすることはないようだ。暗黒の力の形ある現れとして描写はなされるのだが。

火山の噴煙、また冥王の呪魔の闇に隠されて、外観ははっきりしないのだ。冥王自身とおなじく、徹底的に隠されている。


| 折原偲 | 指輪物語 | comments(0) | trackbacks(0) |