なんでも本棚。

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野分ノ灘―居眠り磐音 江戸双紙 20
 ある晴れた朝、宮戸川の鰻割きの仕事をめでたく幕引きとするところからハナシは始まる。20冊目である。
 関前の父上から手紙が来て、おこんさんを伴い坂崎家の墓に墓参りとなるわけだが、その前に、江戸城内のさるお方がどうにも放っておかれぬようで。刺客は来ちゃうし、魔手はついに磐音の周囲に及び、 南町定廻り同心木下一郎太は蟄居閉門の浮き目にあう。
 しかもそれだけではおさまりそうにない。
 そもそも一郎太は磐音への刺客を不審に思って調べを進めていた。さるお方が城中でお奉行を呼び付け、非公式に詰め腹を申しつけたところを、かろうじて凌ぐべく謹慎で先手を打ったのだという。
 なにしろ相手は南町奉行のすげ替えなど朝飯前、権力の絶頂にある。刺客への依頼役を務めたらしい家臣が 死体となって堀に浮かんだというから、状況は深刻だ。
 このシリーズのこと、決着つけないで旅立つようなことはないと分かっちゃいるのだが、珍しく気の揉める展開だった。
 磐音とおこんの便乗した御用船は、野分の先触れが吹き荒れる遠州灘を越え、内海に入り大阪に寄港して、さらに西へ、関前に向かう。途中、国元のあれこれは明らかになるし、海賊は出るし、やっぱり刺客は出るしで、船旅や風待ちに退屈する暇もないのであった。
 毎回カバーアートにはクライマックスシーンが描かれているのだが、この巻も描かれているとおりの場面があった。いやネタバレっちゃ、ネタバレなのだが(笑)、キニシナイ。
 しかしまあホームグラウンドを離れて心細いおこんさんもいじらしいというか、かわいいんですが。ぐっと来ちゃったのか磐音はいつにも増して優しいんですな。この光景を刺客は見張ってたんですよねえ。。。いちゃつきやがって、と、やってらんない気分になったにちがいないです(笑)。

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| 折原偲 | 時代もの | comments(0) | trackbacks(0) |
梅雨ノ蝶―居眠り磐音江戸双紙 19
  大きな転機が訪れる。なにしろ考えこんでいて刺客に不意を突かれてしまうのだ。縫うほどの傷は1巻以来じゃなかろうか。
 これまで磐音の心の中心にあった、故郷関前藩での5年前の事件には、ひとつ区切りがついている。
 かつての許婚、白鶴太夫は身請けされ、山形の大店の内儀に 落ち着いた。
 藩財政の立て直しは軌道に乗りつつあり、江戸表の大敵は上意を得て実力で排除した。
 今津屋では女あるじを迎え、おこんとの絆も新たに、ふたりの 未来を考える時に来ている。
 これまでも徐々に、日光社参などのエピソードを通じて、新しい未来が片鱗を覗かせてはいて、このシリーズらしく、期待は裏切られないのだが。
 火付け強盗その実は、ってな事件がのっけから起こったり佐渡を島抜けした重罪人たちが強盗団となり大仕事を企む情報が入ったり、改築なった佐々木道場の柿落とし大試合が行われたりと、実に忙しいのであった。
 しかしラスト、物心両面で磐音の支えになってきたであろう宮戸川の鰻割きとの訣別を決意する朝、もうひとつ決着もつくし、なかなかの幕切れである。

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| 折原偲 | 時代もの | comments(0) | trackbacks(0) |
捨雛ノ川―居眠り磐音江戸双紙 18
 後味が悪いと言えば、この巻のカバーアートにもなっている、佐々木道場師範本多鐘四郎の過去の話である。
 お旗本夫婦の成れの果てが内藤新宿の女郎屋のあるじと女将とは。そしてそのやり手の女将が、鐘四郎の忘れえずにいた思い人なのだ。
 思い返せば、やりきれないしがらみを断ち切る手段が磐音の剣しかない挿話はひとつならずあったはず、なのだが。この巻の話はそのやりきれなさが語られていないからかもしれぬ。道場の敷地から古刀が掘り出され、見知らぬ武家娘を助けた鐘四郎には婿入り話がもちあがり、おそめの職人奉公が本決まりと、めでたい話には事欠かない。その対比があるからだろうか。
 もちろん、手入れに野盗2連続で、2夜続けざまに奉行所に行くし、さ らに謎の武闘家しかも体術つかいによる連続殺人事件の捜査に巻き込まれたあげくの代理仇討ち、島抜けした無宿人を取り押さえ、と、風雲にも事欠かないのであった。
 捨雛とは流し雛のことらしく、縫箔職人に弟子入りするおそめ、あとを受けて今津屋に奉公する妹のおはつ、鰻職人を目指す幸吉が、朝霞の大川に流す結びの場面は後味を悪いままにしない工夫だろうか。

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紅椿ノ谷―居眠り磐音江戸双紙 17
 今津屋の祝言、佐々木道場の改築決定と、祝いごとの続く巻だが、魔がさし剣風吹き荒れる場面もある。改築費の足しにと門弟衆から冥加金を募るべく門前に置かれた樽が盗まれ悪用されてしまうのだ。結局やっかみと逆恨みのなせるわざで、後味の良くない結末だった。因果応報ではあり、納得はするんだけどな。
 それよりオオゴトと思えるのは、おこんさんの気鬱である。先妻の三回忌、後添いの輿入れと大仕事が終わり、また一人で仕切ってきた奥向きに新しい女あるじができたわけで。
 仕事はこなしていても、先行きの不安も手伝ってか、思いに沈むことがしばしばあり、周囲にも心配をかけていた。そこで磐音は友人の蘭医中川淳庵に相談し、 御典医桂川国瑞に話が行って、温泉に転地療養となるのであった。
 とうぜん二人っきりである(笑)。
 行き先は三国街道沿いの法師の湯、高崎までは中山道なので覚えのある地名がちらほらと出てくるのだが、これを歩くってのが何ともはやである(汗。
 たどり着いた山里の風景、特に紅椿に雪の降りしきる光景は美し く、三国峠から望む越後の国また旅の心をそそられる。
 しかし剣風は療養先まで追って来るワケで。でも師匠が笑って「坂崎なれば捨て置いても大事なかろう」と言われるとおりなのであった。

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螢火ノ宿―居眠り磐音江戸双紙 16
  今津屋ではお内儀の三回忌が執り行われ、いよいよ後添いとなるお佐紀との婚儀に向け動き出す。と思えば、白鶴太夫の身請け話が持ち上がる。ただ主人公の身辺整理というだけでなく、剣風吹き荒れるのがこのシリーズの常であり、白鶴花魁の不幸を望む陰が忍び寄る。
 実は先日まで土曜時代劇で放映されていたのを何気なく見たのがこのあたりエピソードだった。
 お佐紀さんの姉夫婦の話はともかく、白鶴太夫身請けの話は正直こんなかんたんなのはどうかと思ったのだが。
 小説ではそんなことなかったので一安心。
 30分なんてケチなこといわず、たっぷり見せてほしいものであるよ。

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驟雨ノ町―居眠り磐音江戸双紙 15
  日光社参も無事終わり、江戸は夏である。関前藩江戸家老が粛正されたり、幸吉の出奔をきっかけに過去の惨事の真犯人が見つかったり、今津屋への押し込み強盗が未然に防がれたりで、例によって気ぜわしい。まあ、主人公がのんびり長閑なたたずまいであるだけに際立つというか、このシリーズはこうでなければ、というところか(笑)。
 風雲のクライマックスは怪盗鰍沢の満ヱ門一味の捕物なのだが、それさえ霞んでしまうのは、やはり嫁取り話であろう。
 かつて許婚であった奈緒こと白鶴大夫は心中にないだろうなと父に念を押され。ここで、ないと言えば嘘になる、と返せるのが磐音な訳ですな。しかし太夫は吉原という別世界のおなご、関前を出た時から別々の道を行く定めであったのだと続くわけですがね。

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夏燕ノ道―居眠り磐音江戸双紙 14
  季節は旧暦4月半ば、全国的にいい気候である。この巻のメインイベント、将軍家治の日光社参もまさにこの時期、行われる。まさに人多すぎで将軍が岩槻に入っても行列最後尾はまだ府内だわ、宿泊先の指定はなし崩しで行列ごと野宿な家中もあるわで、なかなか大変である。
 磐音は今津屋後見として、一時的に勘定奉行の内用人となり同行することとなるのだが。それを聞き付けた将軍側用人によって、新たな用心棒任務が発生するのであった。いや巻き込まれで風雲渦巻いてしまう主人公の面目躍如(ちょっと違)なのだが。しかしこれまた磐音らしく、年若い警護対象者と行く五月の北関東の道中は、長閑で清々しい。敵方も親玉のスケールにも不足はなく、なんと忍者まで出てくるのであった(笑)。
 こんなに楽しくていいのかと思うが、シリーズすでに14巻目、気に入ってる人しか読み続けてないし。いいのだ、きっと。

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残花ノ庭―居眠り磐音江戸双紙 13
  旧暦二月の終わりといえば今なら3月末、関東は桜の盛りである。もっとも、ソメイヨシノはまだできていないはず、なので、彼岸桜に枝垂れ桜であるわけで。
 出前に行く幸吉、付き添いの磐音の辿る道筋が、大川の御厩河岸を通り越し、吾妻橋際から歩いて浅草寺門前から寺町と、覚えのある地名が続く。このあたり実家のあったころと比べても、草深いというか鄙びた田舎なのが面白く、時代ものの楽しみのひとつでもあるのだが、それはさておき。
 はや安永年間にオレオレ詐欺があったかと思うような押し込み強盗から、瓢箪から駒が出たような美人局。長屋の幸吉に続いて、おそめが奉公の年にさしかかり、手に職をつけたいと相談を持ち掛けた矢先にかどわかしにあうし。一方で阿蘭陀商館長の参府、同行した蘭医実はスウェーデン人が将軍家の子女の麻疹を治すのに深夜通うための用心棒と、例によって騒がしい。
 しかし磐音の身の上を言うならやはり、おこんさんを父の正睦の出迎えに同道したところだろうか。甘酸っぱい(笑)期待を孕みつつ、物語は次巻、将軍の日光社参にむけて動いていくのだった。

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探梅ノ家―居眠り磐音江戸双紙 12
 梅づくしである。いや出だしは名残の秋刀魚と晩秋だけど、水仙は咲き、初雪などちらつく冷え込みの季節である。ちょうど今頃、もうちょい先か。いやそれはともかく。
 師走の初め、鎌倉の建長寺にお内儀の供養に行くという老分さんのお供で出掛けてみれば、あるじの吉右衛門の後添い捜しだったりするわけで。俯き加減の水仙のような、めあてのお香奈でなく、白梅のようなしっかり者の妹さんと話をまとめるわけで。
 そして佐々木道場の新弟子が悪い仲間に誘い出された対決の場も湯島天神、梅の名所である。一番いいところをさらっていく佐々木先生がかっこよくも可笑しい(笑)。
 御典医桂川家の麻布屋敷は地元でも白梅屋敷と呼ばれるごとく、まことに素晴らしいのであるが。
 終章、あるじとの見合いに薮入りの今津屋に現れるお佐紀がやはり、この巻の白梅なのだろう。

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無月ノ橋―居眠り磐音江戸双紙 11
  いろいろあった熱海から無事に江戸に帰り着き、夏も過ぎて季節は秋である。包平も戻り、先だって御用仕事に加わらせてもらったお礼のように品川柳次郎の母から誘われて、寺参り実は萩の寺での宴になったりで、日々は平和のようであるのだが。
 刀鍛冶に正宗と偽った村正の持ち込まれたところに同席したり、お家騒動が女難に発展したりと忙しい。
 村正騒動は南町年番方与力が思わぬ窮地に追い込まれるところまで発展してしまうのだった。
 この一件に決着つけるのも磐音の剣であり、絶え間無く命のや りとりがある。それを目の当たりにしてもなお、思うことをやめないおこんさんの一途が、読後に残る『無月の橋』でした。

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