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フィニイ128のひみつ (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
JUGEMテーマ:読書
   手に取った『フィニィ128のひみつ』を読了してしまったりで日が暮れる。
 いやまあ腐海の上層にあったわけですよ(汗。

 それなりに面白かった。いや素直に2003年に読んでおけ自分。

 検索するとまたその。パクッてるとか出てくるわけですが。
 この小説の内容を考えればそういう批評は無意味だと思うがどうか、的な感想は抱きました。
 ロールプレイングゲームって思いつきの集積であって、その分量というか物量に圧倒されるってのは確かにあるわけで。
 なにかしらフィクションに接しながら育つわけで。あらゆる思いつきはなにもないところから生まれたわけではないのだ。
 また何もないまったくのオリジナルだと主張されても、文学のパターンはシェークスピアの時代に出つくしてるわけで。
 そのうえで、物語消費の方法としてテーブルトークロールプレイングゲームとか、発展型のコンピュータゲームとか新しく出てきて、幅きかしてる現実があるわけで。
 マサムネとムラサメがエクスカリバーと同居しても誰も不思議と思わない世界観は、こっち系なら有りなんだねえ。いやこっち系じゃない話なら、不可ですけど<年寄りの頑固者。そういうこだわりは、この話ではどうでもいいので。
 ラストのブッタ切り感には驚いたが、このごちゃごちゃの中から、まちがいなく「ひみつ」は発見されている、というところは共感できるなぁ、とは思ったのだった。

 カッ飛ばして読んだので、ネタはたぶん拾い損なっているでしょう。
 まあ、それはそれでヨシ、みたいな。
| 折原偲 | SF | comments(0) | trackbacks(0) |
『ゲド戦記』岩波少年文庫版
評価:
アーシュラ・K. ル=グウィン
岩波書店
¥ 756
(2009-01)

評価:
アーシュラ・K. ル=グウィン
岩波書店
¥ 714
(2009-01)

  児童向けの枠で出版された本でも、大人が楽しめる、というか、ほんとうにいいものは誰が読んでもいいんだと思うが、多少の難点はあるわけで。
 ひとつは価格である。そしてサイズ。
 いやサイズと装丁が先に来るのだろう、子供のための本は字を大きく、丈夫に作らないといけないし、またごく僅かの例外を除いて大人向けの本ほど短期間にたくさん売れるものではないので、単価は高くなってしまう。
 『ゲド戦記』は大人むけの体裁の本も出ていたのだが、なかなか文庫並の価格までは落ちてきてくれなかった。
 やっと、手の届くところに、という感のある少年文庫版が、1月15日に刊行されている。
 とりあえず2冊『影との戦い』『こわれた腕環』と。

 この2冊はなんというか、自我の確立と、自立の物語として、じつに素晴らしいのだ。
 ル=グゥイン作品のなかでもごく初期のもので、文化人類学的な見識が活かされ、単純化された世界の構図が物語を際だたせているのだが。そのあたりに意見のある大人はいると思う。現代では。
 しかし、頭で考えるのを休んで、虚心に物語と向かい合うことができれば、このうえない体験になると思うわけで。
 読んだことのある大人は身の回りの中学生に勧めましょう。
 読書癖のある子なら、小学校高学年から。ふだん本読まない子なら、高校生でも。

 アニメはまったく別のハナシなので、参考になりません。ねんのため。

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| 折原偲 | ファンタジー | comments(0) | trackbacks(0) |
死者の短剣 惑わし (創元推理文庫)
評価:
ロイス・マクマスター ビジョルド
東京創元社
¥ 1,260
(2008-12)

  ビジョルドだ、ファンタジーだ、と嬉しかったのですが、価格に負けて図書館で予約。
 借りてきてその日に読み終わったんですが。

 いや面白かったですよ。ファンタジーで、こってりロマンス小説で。堪能しました。
 しかしまあ続き物と分かっちゃいましたが、ファンタジー世界がこれからどうなるか、ってハナシがさっぱり始まってない気がします。

 この世界には悪鬼がいます。心に働きかけて人間をとりこにし、また、動物をとらえては人じみた姿にこねあげて言葉まで喋らせる悪鬼の、ほとんどいかなる攻撃にも死ぬことのない肉体は、この世界の土からできているのだといいます。
 ただひとつ、悪鬼をほろぼすことのできる武器が、死者の短剣です。
 しびとの骨からできるというそれを帯びている警邏隊員がいるおかげで、悪鬼の手先や盗賊の跳梁する街道も、どうにか機能しています。
 危険きわまりない街道を、ヒロインのフォーンがひとり辿っているところから、物語は始まります。
 わけありで生まれた家を離れ、街道の先にあるという街をめざして歩く彼女はやっぱり盗賊に襲われ、悪鬼のもとに連れ去られかかりますが、そこで警邏隊員のダグが、やっと追いつきます。

 左手ばかりか大事な人たちを失ったダグが、年半分くらいのフォーンに出会って、失ったと思っていた何かを蘇らせる話であり、世界のどこにも寄る辺なかったはずのフォーンが自分の価値と、居場所を見いだす物語であるのですが。悪鬼に苦しめられる世界にも何かが起こったはずなのに、そっちのハナシはとうとう始まらないまま、この巻は終わってしまいました。
 いや、まあ、人間が個人として生きられる社会、というのは、現代になって初めて実現したもので、それ以前は、家族や同職集団や、さまざまな集団に組み込まれなければ生きていくことも難しかったわけで。女性の場合、集団に組み込まれるには、誰かの連れ合いになるか、妾になるか、娼婦になるか性的な立ち位置を決める必要もあったわけで。男女関係にはラブ・アフェア以上の意味があるはず、なんですが。そこにロマンティック・ラブの物語を組み込んで読ませるのがロマンス小説なわけで。
 さすがビジョルド、背景説明をロマンスで語らせて飽きさせません。
 ただまあ、身体感覚の描写は切っても切れないので、そのへんは要らない、というひとには厳しいかも(笑。
 次はどうするかな〜。読みたいけど、もちろん。図書館ですな(汗。

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| 折原偲 | ファンタジー | comments(0) | trackbacks(0) |